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木構造研究室

【事前に要チェック】構造計算に必要な情報とは?

構造計算のダンドリとは?

構造計算をする際に最低限必要になる情報があります。
慣れてしまえば煩わしくはないのですが、中大規模の構造計算をはじめて依頼する方は、
戸惑うこともあると思います。

今回は、構造計算をする際にどのような情報が必要で、
そして、なぜ必要なのかを解説します。

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目次
1.図面を見ればわかるでしょ?
2.用途と面積が重要
3.用途の判断によって規制が変わる⁉
4.実態の取り扱い用途と面積を知って構造計算
5.図面から読み取りたいのは重量
6.まとめ


図面を見ればわかるでしょ?

中大規模木造の構造計算には、平面図、立面図以外に
用途、各階の面積、軒高、建設地などを初期の検討段階から求められます。

ただ、こう書くと、「用途や面積は図面を見ればわかるのでは?」
と思うかもしれません。
確かに見ればわかるのですが、
掘り下げて聞く理由がいくつかあります。

この「なぜ、用途と面積を掘り下げるのか?」という視点で眺めると
住宅と非住宅の違いがより見えてきます。


用途と面積が重要

あらゆる建物に対する法的制限が書かれている建築基準法は、
主に用途と規模によって構成されています。

特に、不特定多数の人が利用する用途には、
構造だけではなく耐火など厳しい規制がかかってきます。

逆に、特定の個人の所有物になる小規模な住宅は、限られた制限での建築が可能です。

乱暴な表現になってしまうが、小さな商店とデパートでは、
用途は同じでも制限の度合いに濃淡がかかるような制度になっています。

そのため、用途と面積が想定できないと、関係する法体系が見えてきません。

初期段階で確認を求められるのはこのためです。
ただ、これだけでは、先程の質問の
「用途や面積は図面を見ればわかるでしょ」の答えにはなりません。

用途の判断によって規制が変わる⁉

では具体例で見ていきます。

例えば、福祉施設と言っても、宿泊施設や集合住宅に近いものや
施設内に大きな集会所があるものなど様々です。

そのため、その建物の実際の用途が複雑になります。

サービス提供が中心の施設になるか、宿泊用途、集会用途を
含む建物になるかなど判断が必要になります。

そして、この用途の判断によって適用される防耐火や
避難などの規制が変わってきます。

例えば、診療所は300㎡以下なら特殊建築物にはなりません。

ただ、この300㎡という面積は延床面積ではありません。
基準法は用途や使用する階で規定しているため、もし、1階が診療所で
2階が事務所の場合は、構成する用途や面積などを考慮し、
実態利用を想定した動線で構造を考える必要があります。

そして、これらの用途や面積を鑑み、もし耐火建築物と判断されると
相応の構造にしなければいけません。

耐火建築物になった場合、被覆で重量が2~3倍変わってきます。

防耐火の仕様で何を見込むのか、そして、付帯する鉄骨階段や
エレベーターなどの重量も考え、構造を計画するという流れになります。


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実態の取り扱い用途と面積を知って構造計算

掘り下げて聞く理由は、実態の取り扱い上の用途とその面積を知って、
重量を想定し構造設計を行うためです。

それらが事前にわかっていないと、構造計算の見立てを立てることができません。

もし、詳細がわからない場合は、安全側に見込んでしまいます。
重めに想定するので、どうしても割高になります。

せっかくの営業努力が、そのひと手間をしないために
価格で負けてしまうかもしれません。

また、あとあとの問題を回避するためにも、
初期段階で用途、面積を明確にしておくことはとても重要です。

図面から読み取りたいのは重量

構造設計者が図面から読み取りたいのは重量に関わることが多いです。

・耐火構造の床なのか? 
・準耐火構造の床なのか?
・燃え代設計は何にするのか?
・どこを燃え代にして、どこを被覆にするのか?

それらを図面からわかる範囲で読み解いていきます。

耐火の仕様は現在、石膏ボードが主流です。
石膏ボードで被覆すると重量が一気に増えます。

そのため、構造計画を立てる上では、とても重要な要素です。


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まとめ

戸建住宅の設計でも防火規定は重要ですが、
木造建築物の規模が大きくなると、
防耐火の法規制は建築計画では最も重要な要素になります。

通常の住宅では地域に関する要件が大切になりますが、
非住宅木造では、その他に用途と規模という2つの要素が必要になります。

このような要件が絡んでくるため、住宅と同じように進めてしまうと、
あとあと大きな問題になることがあります。

そのため、初期の段階で専門家と協力体制を組むことはとても重要です。

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