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木構造研究室

【中大規模木造】断られて困らないための設計テクニック

なぜ、プレカット工場に断られるのか?


目次
1.ウッドショックに関する相談が増えています
2.最悪、確認申請の出し直し
3.東北の案件を九州でプレカット
4.もしものための設計上のテクニック
まとめ


ウッドショックに関する相談が増えています

非住宅は木材の使用量が多く、特殊な樹種や材寸の手配があるため
木材不足の今、積極的に見積もりをするプレカット工場は少ないです。

先日も「プレカット工場に断られて困っている」という相談をいただきました。
500㎡ほどの福祉施設を秋に上棟する予定で確認申請を済ませ、
あとは見積もりを整え契約という段階でプレカット工場から
「見積れない」と断られたそうです。

別の工場にも問い合わせたのですが、いい回答が得られず
計画は宙に浮いていました。

図面を確認すると、
ウッドショック下では即座に断られるであろう図面でした。
米松やレッドウッドなど
入手が困難な樹種ばかりがスペックインされていて、
加工しようとしてもできないという仕様だったのです。

今、プレカット工場はそのような図面を受け取りません。

数字だけ計算して図面化する
木造に不慣れな構造設計士に依頼するとこのような問題が起こります。

しかし、大半の構造設計士は木材の調達に関しては専門外です。

最悪、確認申請の出し直し

例えば、入手困難な米松やレッドウッドを
調達しやすい杉に仕様変更しようとすると、ヤング係数が足りないため
構造計算からやり直さなければなりません。

プランの修正も関わってくるので初期の初期まで戻ることになる上に、
確認申請も出し直しになるので数ヵ月の作業になります。

先程の方は、設計変更せずに進めようとして
加工してくれる工場を探したのですが、
探してる間に状況がさらに悪化してしまいました。

このような問題が全国各地で起こっています。

東北の案件を九州でプレカット

実はウッドショック下に限らず、平時でも
非住宅では同じような問題が起こっていました。

非住宅の場合、特殊な樹種や材寸を使うので
木造に不慣れな構造設計士に依頼すると、
入手困難な樹種で、なおかつ加工困難な材寸で
計算図書をつくってしまいます。

そしてその図書で確認申請を通してしまうと、
材料が手に入らない、加工ができない、ということになってしまいます。
実際に、近くで加工できる工場がないため
東北の案件を九州のプレカット工場が行うということもありました。

非住宅は材料の調達やプレカット工場との情報共有がとても重要です。
ウッドショックによりこの問題が、より如実に表れてしまったのです。

もしものための設計上のテクニック

ウッドショックのような緊急時はもちろんのこと、
調達が難しい木材を使用する場合は
ちょっとした構造設計上のテクニックを使うと、
問題を回避できます。

それは、
設計図書の中で仕様を限定せず、樹種の変更を可能にしておくことです。
一般の木造住宅ではほとんど行わないのですが、
例えば「RW集成材同等以上」や「ヤング係数E105以上」と幅を持たせた内容で
計算書に記載しておくのです。
計算書で記載していない樹種を使うと契約不適合になってしまいますが、
仮で低位の材料で設計しておいて「同等以上」という記載があれば
それ以上の材料への変更なら許可がなくても可能です。

そのような図面であれば、もしもの時設計し直す必要はありません。

特に、先程のような事例の場合は注意が必要です。
米松やレッドウッドなど強度のある木材を、
強度の低い杉のような木材に変更しようとすると、断面の変更が必要になります。
そうならないためにも、ある程度幅を持たせた設計図書にしておくのです。

今、ウッドショックによって
突然木材がなくなってしまい急ぎの案件に
外材から国産材へ切り替えたり、LVLなどへ変更したりすることもあります。
そのような不測の事態にも対応できるように、構造的は事前準備をしておきましょう。

まとめ

材料の調達が難しい今、
非住宅の計画を進める場合は最悪の状態を想定して
ある程度幅を持たせた設計図書を作ることが重要です。

図面の書き方1つで回避できる問題が多くあります。

木造を専門にする構造設計事務所に依頼すると
そのような対策もしてもらえるので
ぜひ、チェックしてみてください。

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