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木構造研究室

同じスパンで木造と鉄骨造を比べてみた

鉄骨造、RC造は簡単に木造に置き換えられない

2010年の「公共建築物等における木材の利用促進法」の施行と、
規制緩和により、RC造、鉄骨造以外では難しかった
中大規模施設が木造化できるようになりました。

そのため、RC造・鉄骨造で進めていた計画を
そのまま木造に置き換えてほしいという依頼が増えました。

私共は、非住宅専門の構造設計事務所のため、
そのような案件が多く持ち込まれます。

ただ、正直に申し上げますと、
RC造、鉄骨造の計画を、そのまま木造に置き換えることに
無理を感じることが多いです。

住宅の延長線上で考えると、
簡単に置き換えられると思ってしまうのですが、
構造的にRC造・鉄骨造と木造は考え方が全く異なります。

今回は、RC造、鉄骨造の計画をそのまま木造に置き換えると、
どのようなことが起こるのかを見ていきたいと思います。

非住宅はスパンの考え方が住宅とは違う

一般的な住宅の場合、
スパンが飛んだり、極端に荷重がかかったりすることは
ほとんどありません。

そのため、住宅は同じようなプランで鉄骨造と木造を比較すると、
遜色ない強度で、価格的に木造が有利になります。

しかし、非住宅は建物が住宅とは比べものにならないくらい大きく、
スパンを広くとったり、荷重の負荷がかかったりすることがあります。

そのようなプランを置き換えると、
木造では対応できません。

事業主が木造を希望。その時・・・

下記をご覧ください。
ロードサイドのドラックストアを鉄骨造で進めていたのですが、
事業主からの要望で、木造で検討し直すことことになりました。

図面のように10m程のグリットで柱を入れて、
陳列棚を設けるという計画でした。

このような場合、多くの方が同じ条件での比較を希望します。

では、同じような条件で木造にすると、どうなるかを見ていきます。



簡単に見えても、構造的な無理があちこちに

鉄骨造で考えると、コラムやH鋼を使って、
11mや13mのスパンを軽快に飛ばして設計をすることができますが、
木造で置き換えると、構造的に非常に無理のある計画になります。

コストと耐力を考えると、6mグリットにして大断面の集成材で検討することになります。

鉄骨造のスパン割りを木造にすると

そもそも鉄骨と比べて木はヤング係数が20分の1なので、
柱も450mm角、梁成も800mmの大きなものが必要になります。

800mmの梁成になると、天井高の考え方も変わってきます。
仮に梁を3丁合わせにしても450㎜の梁成が必要です。

非住宅の場合、鉄骨造のスパン割りをそのまま木造に適用することは、
無理があります。

事業主の要望を叶えつつ、トラスを組んだり、柱や壁を入れて、
バランスを取りながら、木造として成立するようにプランニングする必要があります。

計画をスムーズに進めるポイントは?

多くの場合、事業主が木造化を希望します。

その際、初期の段階から構造を含めた的確な意匠提案ができなければ、
計画をスムーズに進めることはできません。

ただ単に、木造に置き換えようとすると、
予期せぬトラブルになりますので注意が必要です。

まとめ

鉄骨造、RC造と、木造は構造の考え方が根本的にことなります。

また、住宅の延長線上で、鉄骨造、RC造と木造の比較をすると、
中大規模の施設では構造が成立しなくなることがあります。

特に、事業主の意向で木造化した場合は、
初期の段階から構造も含めての意匠提案をすることで、
工期、コストを最適化することができます。