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木構造研究室

120角柱の限界とは? 扁平柱の設計で注意すべき5つのポイント

こんにちは。中大規模木造に特化した構造設計事務所 木構造デザインの福田です。



非住宅木造は、階高が5mを超えることがあります。

ただ、柱には仕様規定で決められた基準があり、それよりも長くしたり、細くしたりすることはできません。

柱があまりにも細長くなってしまうと、荷重や地震、風圧によって、座屈してしまうからです。



今回は、これから非住宅木造に取り組もうという方向けに、柱の設計で注意すべき点について解説します。


目次
有効細長比とは?
扁平柱を選ぶ理由
見付面積
シャッター脇の柱
柱勝ち、梁勝ち
まとめ


有効細長比とは?

建築基準法では、有効細長比という規定が定められています。


有効細長比(令第43条6項)は、下記の計算式になります。

専門的な計算になるので詳しく解説はしませんが、仕様規定では細長比≦150をクリアしなければなりません。

一般的に流通している105角の柱では4.5m、120角の柱では5.1mが小径からの長さの限界になります。

扁平柱を選ぶ理由

土台天から梁下までが5.1mを超えてくると、120角よりも太い柱、もしくは、扁平柱(平角)を使用することになります。

コストや調達のことを考えると、150角、180角の柱を使うよりも、120×240成くらいまでの扁平柱を採用することが多いです。



特に、外周部の柱は扁平柱になることがあります。

これは、階高に加え、壁に受ける風圧による曲げの力が生じるためです。

この風荷重に対して強軸断面(変形しにくい基準軸)で軸力をみていきます。

扁平柱が室内側に出てきてしまうのはこのためです。

扁平柱を室内側に出したくない場合、配置ピッチを短くすることで調整をすることは可能です。

柱が負担する風圧見付面積は配置ビッチで決まるからです。

例えば、1820ピッチだったものを910ピッチにすることで負担面積が大きく変わってきます。



ただ、ピッチを細かくすることで柱を細くすることはできるのですが、柱が増える分、材積も増えてしまうため、コストとのバランスを見ながら決めていくことになります。

見付面積

地震力や風圧力に抵抗するための必要壁量は、地震力に対する必要壁量と、風圧力に対する必要壁量をそれぞれ算出し、大きい必要壁量が採用されます。

非住宅木造は地震力に対する必要壁量よりも、風圧力に対する必要壁量のほうが大きくなることがあるので注意が必要です。



風圧力に対する必要壁量は、見付面積に係数を掛けて算出します。

見付面積とは建物に風があたる立面上の面積になります。

平屋の場合、床面から1.35m以上の部分の面積、2階建ての場合、1階床から1.35m以上の部分と2階床から1.35m以上の部分の面積になります。

これは、階高を2.7mと想定していて、その半分の1.35mが、その階の風圧力を負担するという考えからきています。



ここからもわかる通り、想定されている2.7mの階高を超えてくると、負担する面積が大きくなります。

階高の高くなる非住宅で風圧力に対する必要壁量が問題になるのは、このためです。



柱は上からの荷重に気を取られ過ぎて、横からの荷重を見落としがちですが、実はそうではありません。

非住宅の場合、風圧力を受ける面積が広くなるため、影響の出る場所には、耐風梁や耐風柱が必要になることもあります。

シャッター脇の柱

また、シャッター脇の柱に関しては、大きくなると思っておいたほうがいいです。

シャッター自体の荷重、そして、シャッターへの風圧を両脇の柱で負担することになるからです。



シャッターの開口が大きければ大きいほど、負担する荷重や風圧は大きくなります。

シャッター脇の柱は、長期の荷重と、短期の風荷重を同時に負担しなければいけないということを覚えておいてください。



コストを考えた場合、通常、梁は6mまでに抑えるようにします。

同様に、階高は120角の柱で対応できる5mまでに抑えると経済的です。

そして、柱が5mを超えるような場合は、コスト面、調達面を考えて、まずは、120×240成くらいまでの扁平柱を想定することが多いです。

柱勝ち、梁勝ち

柱の上に梁が載っかる架構を梁勝ちと言います。

その梁に直角に交わる梁を架ける場合、蟻仕口等で梁に梁を引っ掛けることになります。



それに対して、柱に梁を引っ掛ける架構を柱勝ちと言います。

在来工法の場合、柱に梁が食い込むホゾ穴等で引っ掛けるようにします。

羽子板金物や帯金物などの補強金物を設置しないと安定性を確保できない箇所も出ます。

また、在来仕口の接合部は断面欠損が大きく、住宅より負担する荷重が大きくなる非住宅では、強度に不安を感じることもあります。



そのため、非住宅では金物工法を採用することが多くなります。

木構造デザインでも性能が確保されている金物工法をお勧めしています。

まとめ

柱をテーマにお話ししてきましたが、柱を設計する際、梁との接合部は避けて通ることができません。

柱だけを考えるのではなく、梁がかかっていることをイメージしながら設計をしていきます。

同様に、非住宅木造はスパンを飛ばすことが多いので、梁に気がとらわれがちですが、梁を考えるということは、同時に、柱との接合部、柱の負担も考えなければなりません。

柱の限界をイメージしながら、非住宅に取り組んでいただければと思います。

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福田 浩史

  • 構造設計一級建築士/コンクリート技士
  • 株式会社木構造デザイン代表取締役社長

1999年三重大学大学院工学研究科・建築学専攻・修士課程修了、同年4月に熊谷組入社、構造設計部に配属。主に鉄筋コンクリート造や鉄骨造の高層マンション、店舗設計など大型建築物の構造設計を担当する。2002年6月エヌ・シー・エヌに移籍し、2020年6月取締役執行役員特建事業部長に就任。年間400棟以上の大規模木造の相談実績を持つ。2020年2月木構造デザインの代表取締役に就任。