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木構造研究室

木造幼稚園・保育園 構造設計の注意点

こんにちは。中大規模木造に特化した構造設計事務所 木構造デザインの福田です。

幼稚園・保育園を木造で計画される方が増えています。

それに伴い、構造的な相談を多くいただくようになりました。

木造、独特の問題で悩まれる方が多いので、最低限押さえておいてほしい木構造の注意点をまとめました。ぜひ、ご一読ください。


目次
幼稚園の耐火要件・内装制限
保育園の耐火要件・内装制限
幼稚園・保育園を計画する際の外部と上部への開放性
1.園庭など外部への開放性
2.上部への開放性
鉄骨造と木造の違い
まとめ


幼稚園の耐火要件・内装制限

木造で提案する場合、当たり前ですが、「木」をアピールしたいと思うものです。

幼少期の情操教育の一環として、木に触れ合える木造建築を望まれる方が多くおられます。


ただ、木造で計画する場合、耐火要件や内装制限を受けることになります。

簡単に表で紹介すると以下になります。

また、幼稚園は、特殊建築物の内装制限、および、建物の規模による内装制限の対象外です。

火気使用室、地階や無窓居室および、その避難経路は内装制限を受けますが、それ以外は自由に木材を現しで使用できます。


中大規模木造に取り組むべき理由とその取り組み方

この資料では、下記の内容を紹介しています。

  • どのように非住宅木造に参入するか?
  • なぜ、中大規模木造が注目されているのか?
  • なぜ、500㎡を超えると木造化率が低下するのか?
  • 中大規模木造で失敗しない5つのポイントとは?

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保育園の耐火要件・内装制限

保育園の耐火要件は以下になります

保育園は防・耐火上の構造や規模、室の用途により、内装に準不燃材料、難燃材料等の使用が必要になる等の制限がかかります。

内装制限適用の規模に達しないものであれば、木材を現しとすることができます。


幼稚園・保育園は、児童の居住環境が2階以上になると、耐火要件が厳しくなるので、木造は一般的に平屋になるケースが多いです。

幼稚園・保育園を計画する際の外部と上部への開放性

幼稚園・保育園を計画する際、外部と上部への開放性を重視するケースが多いです。

外への開放性、空への開放性と、例えると分かりやすいかもしれません。

1.園庭など外部への開放性

では、外部への開放性の注意点から解説します。

幼稚園・保育園は園庭との空間的なつながりを考えて大きな開口部を望まれることが多いです。

ただ、木造の場合、外周面に耐力壁の設置が求められるため、開口部の大きさに制限がかかってしまいます。

また、幼稚園・保育園は、外壁面の外につながる大きな屋根や軒をつくり、柱を立てることが多くあります。

その場合、一体の建築として計画することになります。


その際は、

1.屋根がかかっている場合、水平構面は問題ないか?

2.屋根の重量によって、頬杖、または耐力壁が必要か?

など注意することが必要です。

どの程度、外への開放性を求めるのか、要望を確認し、早い段階から断面計画を進める必要があります。(高さ、内外部材としての性能に関係します)

2.上部への開放性

採光面積の確保、排気計画のためにトップライトや勾配天井を採用することがあります。

高い天井等にすることで、上部への開放性が確保できます。


その際は、

1.トップライトやハイサイドライトは、水平構面を分断させてしまう

2.勾配天井によって、火打ち梁の設置ができない

など注意することが必要です。

構造設計は、壁・柱・梁を設計します。

幼稚園・保育園は平屋が多く、木造化しやすい反面、開放性をどう確保するかが課題になります。

そのため、壁を設置できるか(立面)、天井があるのか(断面)を計画段階から検討することが重要になります。

しかし、そのような木構造に不慣れな意匠設計者の方には、掴みにくい感覚です。

そのため、プレカット加工の段階で問題になることがあります。

木造で幼稚園を計画する時の関連法規まとめ
幼稚園を木造で計画する時の関連法規をまとめました。詳しくはこちら

鉄骨造と木造の違い

鉄骨造の場合、開口部をあまり気にせずに設計することができます。

鉄骨造はラーメンフレームなので均等に柱を置きさえすれば、開口部を設けることができます。


しかし、木造は耐力を壁で取るので、適所に壁を設置していく必要があります。

そのため、木造で計画する場合は、46条の壁量計算で成り立たせるか、それに縛られない2項ルートのフレームで進めるのか、早い段階で選択する必要があります。

46条の壁量計算で成り立たせる在来軸組工法は、柱、壁で対応していますが、木造ラーメンは、柱を均等に配置し、フレームで対応します。

木造とは言え、この2つは根本的に考え方が異なるため、計画段階から考慮する必要があります。

まとめ

幼稚園・保育園は、「浴室」や「手術室」などの重い設備を使用することがほとんどありません。

また、2階建てにすると耐火要件が厳しく、避難経路の設置も必要になるため、平屋で計画することが多いです。


このことから、木造化はしやすいのですが、複雑な計画にすると構造の負担が増し、コストアップの原因になります。

木材費用だけでなく、加工費、接合部の費用、施工手間にも波及します。


今までの相談を振り返ると、幼稚園・保育園とは言え、事業という考えがベースにあるので、コストマネージメントがうまい設計者が高確率で受注していると感じています。


木造化する場合は、プランとコストのバランスも考慮して、提案していくことが重要なポイントになると考えます。

幼稚園・保育園を計画する際の4つのポイント

  • 耐火要件
  • 開口部の設計
  • 水平構面の設計
  • コストマネージメント


木造で施設を計画する際には、建築基準法に加え、関連する条例等を遵守することが求められます。


法律や条例等は常に改正され、その解釈や運用については該当の行政窓口や指定検査確認機関等により異なります。


本コラムの内容は「記事掲載時の一般的な考え方」であることのご了承をお願いします。

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福田 浩史

  • 構造設計一級建築士/コンクリート技士
  • 株式会社木構造デザイン代表取締役社長

1999年三重大学大学院工学研究科・建築学専攻・修士課程修了、同年4月に熊谷組入社、構造設計部に配属。主に鉄筋コンクリート造や鉄骨造の高層マンション、店舗設計など大型建築物の構造設計を担当する。2002年6月エヌ・シー・エヌに移籍し、2020年6月取締役執行役員特建事業部長に就任。年間400棟以上の大規模木造の相談実績を持つ。2020年2月木構造デザインの代表取締役に就任。