トップページ > ケーススタディで学ぶ 大空間施設 木構造の考え方【紙面セミナー 後編】

木構造研究室

ケーススタディで学ぶ 大空間施設 木構造の考え方【紙面セミナー 後編】

こんにちは。中大規模木造に特化した構造設計事務所木構造デザインの福田です。

スパンの飛んだ大空間をどう成立させるのか?

ケーススタディ形式で紹介する紙面セミナーの3回目です。


目次
構造計画をフォーマット化
構造計画の主要な項目
梁と接合部の検討
 梁の計画
 通直材かトラス梁か
水平構面
 水平構面の想定
 屋根・小屋の納まり
まとめ

構造計画をフォーマット化

20m×45mの工場を木造でどのように構造計画したら良いのかを実例を使って解説します。

大空間の木造施設の場合、いきなり構造計算に入るのではなく、「課題の洗い出し」をして、「住宅から拡張した仕様の代替案の検討」を行います。


「課題の洗い出し」、「住宅から拡張した仕様の代替案の検討」は、【前編】をご参照ください。



ケーススタディで学ぶ 大空間施設 木構造の考え方【紙面セミナー 前編】

「構造計画の前半」は、 【中編】をご参照ください。



ケーススタディで学ぶ大空間施設 木構造の考え方【紙面セミナー 中編】

構造計画の主要な項目

構造計画をする際の主要な項目は以下になります


  • 建設地と形態、建物に加わる荷重を想定する荷重設定
  • 建物の各部に加わる力、部材に加わる力を想定する応力概算
  • 部材・接合部に加わる力が耐える力を上回るかを確認する断面概算
  • 地震や風、雪や劣化などの建物損傷をイメージする変形や修繕のイメージ


検討する項目が多く複雑に絡み合っているので、弊社では、下記のように検討フローをフォーマット化しています。



前回、柱と壁を検討し、

  • 耐力壁の配置計画はダブル壁に
  • 階高を考慮して耐力壁を面材に
  • 壁の配置と壁線間隔を考慮してダブル壁で均等配置に
  • 柱の設置と梁の長さは、梁の検討に継続
  • 細長比は外周部を平角に
  • 地震と風で壁の必要量を算出しダブル壁に

という結果になりました。そして、今回は梁と接合部の検討に入っていきます。


中大規模木造に取り組むべき理由とその取り組み方

この資料では、下記の内容を紹介しています。

  • どのように非住宅木造に参入するか?
  • なぜ、中大規模木造が注目されているのか?
  • なぜ、500㎡を超えると木造化率が低下するのか?
  • 中大規模木造で失敗しない5つのポイントとは?

無料ダウンロード




木構造デザインなら、構造計算のお悩みを素早く解消できます。詳しくはこちら>



梁と接合部の検討

検討する内容は、

  • 梁の計画
  • 通直材かトラス梁か

です。

梁の計画

一般的に流通している梁材は6mまでになります。
コストパフォーマンスを優先する場合は6m材までに抑えます。


ただ、非住宅の場合は、6m材まででまかなうことが難しく、対応できない場合は10m程度の特注材を効果的に部分使いしていきます。

通直材かトラス梁か

スパンが飛ぶ場合は、トラス梁の利用も選択肢の1つです。

流通材を使って大スパンが実現できるトラス梁は、通直材より経済的というイメージがあります。

もちろん、経済的なトラス梁もあるので、間違いではないのですが、条件次第で一概に言えないところがあります。

トラス梁で計画する時は通直材と比較検討しながら進めていくことをお薦めしています。

ちなみに、トラス梁のメリットとデメリットを列挙すると、


トラス梁のメリット

  • 部材間に軸力しか作用しないため、細い部材で構造設計すること可能
  • 現しにすることで意匠性を表現することができる
  • トラス架構を利用して、断面を傷つけずに設備配管を通すことができる


トラス構造のデメリット

  • トラス梁を組み上げなければならないので、施工に労力がかかる
  • トラス架構のため、トラス高を高くとる必要がある
  • トラス構造の加工を取り扱うプレカット工場が少ない


などになります。

今回の案件は、耐力壁でダブル壁を採用したため、梁の負担する荷重が軽減され、梁サイズを下げることができました。

規格のトラスやフルオーダーのトラスもコストを試算したのですが、梁サイズが下がったことで、通直材を使ったほうがメリットがあることがわかりました。

水平構面

梁と接合部の次に水平構面を検討していきます。

検討項目は以下の2つです。


  • 水平構面の想定
  • 屋根・小屋の納まり

水平構面の想定

水平構面で重要になるのが、屋根面の構成と、垂木と登り梁の納め方です。

木造は、RC造やS造のように剛床にならないため、架構―架構(構面―構面)をつなぐ水平構面の種類は4つになります。


  • 屋根垂木による勾配構面
  • 火打ちによる構面
  • 面材による床構面
  • 鋼製ブレース構面


耐力壁がきちんと働くようにするためには、剛性の高い水平構面(床、屋根)で押さえ込む必要があります。

屋根・小屋の納まり

屋根の構面は、利用者が下から見上げるところであり、様々な部位が関係するため、意匠納まりも要求事項を考慮する必要があります。

天井面での水平構面耐力と屋根野地面での水平構面耐力は、投影した加算ができるため、意匠条件や必要耐力に応じた構成をするには、調整が必要になります。


今回のケースは、

1.水平構面の想定は、梁に合板の直貼り

2.屋根・小屋の納まりは登り梁に合板を直貼りし、垂木はその上部に載せて納める。意匠設計者と調整し、天井は貼らない

ということになりました。

まとめ

構造設計フローをまとめると、

柱・壁の配置

  • 各方向の壁の配置は、どの程度必要か?
  • 壁は、どのような納まりか?
  • 壁の耐力性能は、どのくらいか?
  • 各方向の壁量概算は?


梁と接合部

  • 梁の計画は?
  • 通直材かトラスか?


水平構面

屋根構面の構成 垂木と登り梁の納め?


という流れになります。

今後、この構造計画のフォーマットを使ったケーススタディ形式のオンラインセミナーを定期的に開催しています。

何度か繰り返すことで、木構造の考え方が理解できると思います。
ご興味のある方は、ぜひ、ご参加ください。

また、構造設計は外部との連携をお考えの方は、ぜひ、非住宅木造専門の構造設計事務所木構造デザインにご相談ください。

ご相談・仮定断面の提案は無料で行っています。

計画段階でもご不安なことがありましたら何でもご相談ください。専門スタッフが丁寧に対応いたしますので、どうぞ、お気軽にご相談ください。

|関連記事

ケーススタディで学ぶ大空間施設木構造の考え方【紙面セミナー 前編】

ケーススタディで学ぶ大空間施設木構造の考え方【紙面セミナー 中編】

【事前に要チェック】構造計算に必要な情報とは?

福田 浩史

  • 構造設計一級建築士/コンクリート技士
  • 株式会社木構造デザイン代表取締役社長

1999年三重大学大学院工学研究科・建築学専攻・修士課程修了、同年4月に熊谷組入社、構造設計部に配属。主に鉄筋コンクリート造や鉄骨造の高層マンション、店舗設計など大型建築物の構造設計を担当する。2002年6月エヌ・シー・エヌに移籍し、2020年6月取締役執行役員特建事業部長に就任。年間400棟以上の大規模木造の相談実績を持つ。2020年2月木構造デザインの代表取締役に就任。